あたいの家から疲れるまで歩いたところに
一番好きな場所があるのさ。
そこは高い木が生い茂る、ジメジメとした森の中。
妖精や妖怪が見え隠れしても、
違和感なくみえちまう場所。
その森をずっと歩いて行くとあるんだよ。
そこだけ木々がわかれて、晴れてる日には
木漏れ日が天国からのカーテンに見えるんだ。
朽ち果てた老木?と思いきや
違うんだよ・・・・・不発弾。
雨風に晒され、苔が生え、
腐葉した物がへばりつき・・・・
時間をかけてでも、自然に還ろうとするように
あちこち錆びて朽ち落ちて・・。
早く風化したがってるんだよ。
昔の技術の置き土産。
あたいは、その不発弾が大好きさ。
内部に溜まったまま、爆発しきれずにいる姿。
爆発、解放?
そんな物求めても手にしちゃいけないんだよ。
解放されたら、またそれを求めるだろう?
それじゃダメなのさ、
爆発前の状態が堪らなく好きなんだから。
不発弾は、あたいと同じ・・・。
ふふっ、あんたもだろ?
わかるだろう?
解き放たれない不自由の魅力
我慢という美徳
それが堪らなく好きなのさ